なぜ人は線を引くのか
暮らす場所が少しずつ狭められ、居場所が失われていく。その中で、人はどう生きようとするのでしょうか。
KAAT神奈川芸術劇場で、KAAT×阿佐ヶ谷スパイダース『ジャングル』を観てきました。
KAATの2026年度メインシーズンは、「なぜ人は線を引くのか」をテーマにしています。国境や人種、文化、思想によって引かれる線が、人と人をどう分けるのか。『ジャングル』は、その問いに向き合う作品の一つです。
物語は、フランス北部の港町カレーに実在した難民キャンプ「ジャングル」で展開します。さまざまな国籍や背景を持つ人々が、ドーバー海峡の向こうにあるイギリスへ渡り、難民として保護を求めたいと願いながら暮らしています。
ここにたどり着くまでに、どれほど長い道を歩き、危険な海を渡ってきたのか。一人ひとりの言葉や、体に残る傷から、その過酷な旅路の記憶や、離れ離れになった家族への思いが伝わってきます。イギリスから支援のためにやって来た人々も、それぞれに複雑な思いを抱えて関わっています。
やがてキャンプの敷地はフランス政府によって狭められ、人々は生きる場所そのものを脅かされていきます。厳しさを増す暮らしの中で、共に過ごす人々の間にも軋轢が生まれます。
少しずつ出口がふさがれていくような状況に、胸が詰まりました。それでも、どこかに希望が残っていてほしいと願いながら、舞台を見つめました。
舞台を囲むように客席が配置され、小道具にも工夫が凝らされています。複数の言語と祈りの言葉が飛び交う空間にも引き込まれました。
『ジャングル』は、11月1日(日)まで上演されています。
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